特集!「陶器の選び方」



 異論はあるでしょうが、トルコ陶器はイスラム陶器とヨ−ロッパ陶器の中間をと感じています。オスマントルコ時代は、中国陶器よりもイタリア陶器の影響を強く受けました。
 カオリンが含まれた白色胎土にコバルト(明るい青になる)で染付をし、赤・青・紫・緑・金の顔料を用い流れるような草花文を描いています。(この良質のカオリンが産出されるためキュタヒアが陶芸のメッカとなりました)
 草花はチュウリップに代表されますが、他にカーネーション・金鳳花・ヒヤシンス・バラ、数少ないがパルメットなどがアラベスク風に組み合わされ、ヨ−ロッパ的雰囲気を漂わせています。
 オスマントルコ時代には図柄も王朝別に流行を繰り返し、これが現在製作されるスタンダードとなっています。近年では芸術志向の工房がオリジナル溢れる新しいものの製作にも取組んでいます。
 トルコは世界でも有数のセラミック生産国で、輸出量では世界第三位にあげられています。
 トルコの主要産業であるセラミック業界には、たくさんの工房や技術者が存在し膨大な数の商品が生産されています。これを見極めるのは至難の業です。

 まず、簡単なトルコ陶器の見極め方をご紹介します。
 表面にひびあるものがございます。これは本体のひびではなく釉薬による表面のひびです。これは破損ではありません。
 焼成を終えて冷却する時に、釉が素地より多く縮んでしまうと、釉の表面に、ひび(貫入)が入ってしまいます。急激に冷やしたり釜の中の位置が悪いと割れてしまうこともあります。
 現代では釉薬の組成を改善したり、焼きの技術が向上したこともあって、目に見えるような貫入を防止することが可能になっています。
 しかし、昔ながらの製法で再現したものなら話は別ですが、ひび(貫入)が多いものは品質として問題があると考えます。
 このひびの状態をみて当バザールでは商品をAランクからCランクに分けております。現地のバザールでは初見の観光客や初心者のバイヤーに、これを何とか言って「これは貫入だ!知らないのか?陶器には必ずあるものだ!これがいい味を出すのだ!」とごまかそうとする販売員がいますが彼が何と言ってもBランクはAランクにはなりません。
ここまで言い切る販売員から購入すると貫入どころかクラックの可能性があります。
 当バザールでは極力「Aランク」の仕入れに努力しますがAランクのみの採集は難しく、B・Cのランクの商品は「Bランク」「Cランク」と明記して販売します。
 キリム同様トルコの手書き陶器もヨーロッパでは非常に人気があり、古くからヨーロッパ人の業者が買い付けています。Aランクの商品は、この古くからのお得意様であるヨーロッパ人に優先して卸されていきます。
 ちなみに私にとってはキリムより陶器の仕入れのほうが大変です。送るのも大変ですし悩みの種です。
 最後にハンドメイドはデザインと筆です。これはお客様の好みにより分かれるところです。価格やランクの表示を確認されお客様の感性で判断されることを望みます。
 貫入=一種の装飾効果として、国内では薩摩焼・萩焼・粟田焼などでみられる。陶器には目に見えないひびも含めると貫入は必ずあると思われます。
 粗悪品の説明で「バザールの販売員」を引き合いに出しておりますがごく一部の販売員です。しかし、このような不良品が工房から観光バザールに流れているのは事実です。

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